【問題1】 身体の活動エネルギーと食事摂取との関係性

中学生のA君、本日は水泳授業で「10分間泳」テストが実施されるので、それに備えて普段よりも少し多めに朝食を摂ろうと考えた。

そのためには「10分間泳」で消費されるエネルギー(カロリー)を見積もる必要がある。中学校の保健体育教科書にはちょうど10分間泳の消費エネルギーが図示されていたので、この値を参考にしようと考えた。
<大修館書店「中学校保健体育教科書」>

A君の体重も50kgだったが、「クロールで毎分69mの速さで泳ぐ」ということは、10分間泳で(@    m)という距離。水泳がそれほど得意ではないA君は、その数字@には到底及ばない。どう考えればいいのだろうか?

  【@は毎分69mで10分間泳ぐので、69m/分×10分間=690m

中学生のA君は、理科や保健体育の授業で学んだ知識をフルに活用して、次のような「10分間泳」での消費エネルギーを考えた。

(1)水泳中の1回の呼吸量(1回換気量)は自分の肺活量(3.2リットル)の半分程度として1.6リットルと考える
(2)A君の泳力は高くなく、1分間で25mペースがやっとだ。
(3)A君のクロールでは25mに25回のストローク(左右腕のかき)が必要で、呼吸数も25mで25回となる。
(4)吸気の酸素は空気中の21%、体内で消費されて呼気中の酸素は16%と仮定する。したがって、体内消費された酸素は換気量の5%ということに。
<大修館書店「高校保健体育教科書」>
(5)酸素1リットルで体内では5kcalのエネルギーが作られる。

A君の10分間泳での消費エネルギー量を計算してみよう。
・上記の10分間泳運動で(A    回)呼吸することになる。
  【1分間で25回呼吸(ストローク)なので、10分間ではA250回呼吸となる】

・体内で消費された酸素は(B    リットル)となる。
  【1回の呼吸では酸素が5%分消費される(吸気濃度21%−呼気濃度16%)。】
  【1回の換気量は1.6リットルとしているので、それを250回分では400リットルの換気量
  【400リットルの換気量のうち、酸素が5%なので、400リットル×0.05=B20リットル

ということで、A君の10分間泳での消費エネルギーは(C    kcal)という事が予想される。
  【酸素1リットルで5kcalなので、20リットル/kcal×5kcal=C100kcal

A君は泳ぎが上手でなく、10分間泳での泳距離は教科書にある@(水泳が上手いB君とする)よりもかなり短い(250m)。しかし、実際の消費エネルギーを計算してみると、B君の10分間泳での消費エネルギーとほとんど差がないことがわかる。体育授業の果たす意義としては、技能上達(下手⇒上手)も重要だが、それ以上に「体を育む」という意味の方が大切だ。だとしたら、A君とB君のような水泳が上手な生徒との間で、成績評価はどうしたらいいのだろうか?単に10分間泳での泳距離だけで成績をつけていいのだろうか?【体育授業の成績評価と科学的エビデンスの関係】

さて、A君は10分間泳での消費エネルギーをCと予想したので、普段の朝食よりも(D   g)多めのごはんを食べることにした。Dは小数点以下を四捨五入して、整数値で答えよう。整数値とは10とか22といった数値ということ。

増加カロリーが100kcalなので、
  269kcal:160g=100kcal:ごはん量
  ごはん量=160g×100kcal/269kcal=D59.5g